その数ヶ月後、福島第一原発の事故が伝えられた。上記の海岸は福島県ではないが、調べてみると某原子力発電所から直線距離で7kmしか離れていない場所だった。この事実を知ってからその海岸を写した写真はボクにとって記念写真とは別の意味をもつようになった。何の変哲もない海岸の光景だけれど、ちょっと大げさにいえば3.11以後の日本で生活することを考えるきっかけになりうるだろうという・・・。そこでネガを見直し、2コマ分を1枚の写真としてプリントした。
このことは、写真の面白さの一例だと思う。撮影したときの意図がどうあれ、何かのきっかけで別の視点を与えれば、同じ写真が別の意味をもつそれとして解釈ができるという面白さだ。
このような経緯のある地味なモノクロームの海岸風景の写真を、生活圏内にある原発に怯えながらこの海岸を心から愛している友人に持って欲しいとかねてより考えていた。その人が持つべき写真がその人のもとにあるということは大事なことだ、と改めて感じた。
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