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SHIN'S PHOTO GALLERY

写真とその周辺について書きます

アルル写真フェスティバル報告会メモ

先日(7/30)、神戸にてアルル国際写真フェスティバルの報告会がGallery TANTOTEMPOの主催で行われ、参加してきた。詳細な報告はTANTOTEMPOのHPで公表されているので、ここでは報告会の報告ではなく、ボクが写真を制作する立場でこの報告を聞いて感じたことを記しておきたい。

さて、写真を撮影して発表しようとするボクがとどめておきたいこと・・・・

欧州の写真イベントであるアルルに見た現在の写真の潮流とは、従来の写真は、コンテンポラリーアートに包含されているらしいこと。そのために従来の写真という眼で観た場合、写真をその素材に使っているけれど一見とても写真とは思えないものが写真として積極的に認められていること。

一方、従来の写真も過去から同一の価値観をベースに連続的に拡大してきたのではないこと。例えば80年代半ば、アルルにて「ロック」の写真を取り上げて以後、写真の取り扱う領域が一気に拡大したという経緯。それまで「美」や普遍的な「善きもの」を主としてとりあげてきた写真が、パンクロックの精神「なんだって撮りたいものは撮っていいのだ」を取り入れ、美しくないもの、切実なもの、ドラッグからセックスまでなんでも写真に取り込むきっかけになった。この変化が現在まで影響をあたえている(現在では当たり前になっている)こと。

ようするに写真は、いま、大きな変化の時期にきているらしい、そのような時代に写真を撮っていることを認識しておくこと。

もうひとつ。アルルではポートフォリオレビューを受ける日本人は多いという。しかし、会期中数多くの写真展が開催されているにもかかわらず、日本(人)の写真は積極的に展示紹介されていないこと。ボクは日本で写真を撮って発表しているので、国内の写真にまつわる環境に慣れ親しんでいるけれど、この慣れ親しんだ環境から生まれている日本の写真がアルルで積極的に取り扱われていないという事実をどのようにとらえたら良いのだろう。事実だけから短絡的に解釈すれば、アルルのディレクターは日本の写真を観てはいるけれど、この時代にとりあげるべき価値がないと判断した・・・・ということだろう。

写真について、アルル、アルルというけれど、なんでもかんでもグローバリゼーションがよいとは思わない。かといって、携帯電話のように世界の中のガラパゴスのような存在は可笑しなものだろう。2010年というこの現在に、アジアの極東の日本で写真を撮っていることが、ガラパゴスとしてしか考えられないのは悲しいことだ。日本で写真を撮っていても、アルルや世界の写真と地続きであるという気持ちが持てたら気分いいだろう。大阪で写真を撮っていて東京の写真と地続きであるというのは、多くの人が容易に想像できることだろう。そのような感覚で大阪と世界が地続きであると思えるのかどうかということだ。

関心のある方へ。
TANTOTEMPOによるアルル報告は下記にあります。また第2回目の報告会も計画されているということです。写真と真剣に取り組んでいる若い方なら、肉声で報告を聞き質問されるのもよい経験になると思います。
http://mt.tantotempo.jp/blog/

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